2月6日、事実上の2位にして、ジョゼ・モウリーニョ監督自身が最も意識しているであろうラファエル・ベニテス監督率いるリバプールを破り、チェルシーの優勝が事実上決まった。リバプールに21ポイント、ユナイテッドに15ポイントもの差をつけたチェルシーの優位はもはや揺るぎようのないものである。
だが、このことにより各方面で騒がれている「プレミアシップの火は消えた」との考え方には疑問を抱かざるを得ない。この判断は時期尚早だ。確かに「優勝争い」の火は消えた。だが、プレミアシップの魅力は何も優勝争いだけではない。
例えば、ヨーロッパカップ出場権をかけた争いは混戦の様相を呈している。2月7日現在、UEFAカップ出場権が得られる5位に位置するアーセナルから3ポイント以内にウィガン、ボルトン、ウエストハム、ブラックバーンと5チームがひしめいている。
しかもこの6チーム中、2チームが2部からの昇格組みだというのだから興味深い。
特に序盤2位にまで登りつめたウィガンの躍進を予想できた者は少ないだろう。
ポール・ジュウェル監督は初めて指揮をとったブラッドフォードをクラブ史上初めてプレミアシップに昇格させ、降格最有力候補だった同チームを残留に導いた。また、02〜03シーズンには、現在で言うリーグ1(実質3部)に甘んじていたウィガンを勝ち点100という断トツの数字でディビジョン1(現在のチャンピオンシップで実質2部)に昇格させてみせた実績を持つ。彼の貢献度は計り知れない。そしてこれからも続いていくことだろう。
また、常にファンを魅了し、その質の高いサッカーに賞賛の声が集まるウエストハム。イングランド一と名高い、世界有数のアカデミーを誇るクラブだ。
OBには古くはポール・インス、近年ではフランク・ランパード、J・コール、リオ・ファーディナンドなど多くの名選手を輩出し、現在もアントン・ファーディナンド(リオの実弟)、マーク・ノーブルなど才能豊かな若手が在籍している。
加えて、興味深かったのが冬のマーケットだ。クラブ史上最高額でディーン・アシュトンを獲得するなど、昨年チャンピオンシップ6位だったチームは「残留争い」という目標が変わったことを示唆させた。アラン・パーデュー監督の頭の中には少なからず「ヨーロッパ」がちらついていることだろう。
絶不調のアーセナル、昨年UEFAカップ出場権を獲得したボルトン、そしてマーク・ヒューズ監督率いるブラックバーンを相手にどのような戦いを見せるのか興味は尽きない。また、チャンピオンズリーグ出場圏内にいるスパーズとの差も僅か4ポイントだけに、向上心に欠けない出場権争いが繰り広げられるのではないだろうか。
残留争いもしかりだ。サンダーランドは絶望的だが、残り2枠に関しては予断を許さない。
19位のポーツマスは冬のマーケットでスパーズから3選手、さらに将来を嘱望されているアルゼンチン代表のダレッサンドロを獲得。何より絶大な人気を誇るハリー・レドナップが監督に復帰し、降格圏脱出に向けて磐石の体制を整えた。
スティーブ・ブルース監督の手腕に疑問は残るものの、もともと質の高い選手を保持していた18位バーミンガムは徐々に調子を上げ始めている。
深刻なスランプに落ち込み、悪い流れを断ち切れないボロも足元をすくわれかねない。UEFAカップ出場のストレスが予想以上に大きく、決して層の厚いとはいえないチームはバランスを崩してしまった。ただ、もともと実力のあるチームだけにスティーブン・マクラーレン監督の腕の見せ所だ。
また、迷監督ブライアン・ロブソンに率いられ、相変わらず形の見えない戦いを続けているウエストブロムや、名門チームにはびこる“悪玉”グレアム・スーネスをやっと切り捨てたニューカッスルも安全圏とはいえないだろう。
昨年は名門セインツがまさかの降格を喫した。しかも最下位だったウエストブロムが最終節で残留を果たした。このように何が起こるかわからないのが降格争いなのである。注目しない手は無いだろう。
この他にも急浮上中のエバートンなど、注目すべき点は無数に存在する。
「プレミアシップの火は消えたのか。」
これだけの注目点を見過ごすことこそ、リーグの火を消す自殺行為である。