各国の伝統サッカーに様々なスタイルがある。例えば、イタリアではカテナチオ、イングランドではサイド攻撃、フランスではシャンパンサッカー、オランダのトータルフットボール。これらの伝統サッカーを続けるというのは、代表選手・スタッフそしてサポーターの「伝統サッカーでの勝利」というプライドがあるのかもしれない。
だが、それだけでは特に現時代のW杯に勝てる可能性は少なくなっている。
では、どこの国がどのようなサッカーをして勝ちつづけているのだろうか?
それは、第1回W杯大会から出場し、最多5回もの優勝をあげている、ブラジルなのではなかろうか。
皆はブラジルサッカーのイメージはどのように思っているのだろうか?個人技があり、常にボールをキープし続け、守備より攻撃重視というのが印象がある。確かにペレ、ガリンシャ、ジャイルジーニョ、リベリーノといった時代、W杯を3回も掲げている。しかし、それ以降はどうであろうか、あの黄金のカルテットといわれたジーコ、ソクラテス、ファルカン、トニーニョ・セレーゾらさえ頂点に立つことができなかった。
なぜなら、ペレ政権以降、各代表は組織サッカーを導入し、それぞれの伝統サッカーを確立していき、クラブチームで各個人のレベルアップをはかっていったのだ。
だが、サッカー王国ブラジル復権の時がきた、94年に開催されたアメリカW杯である。
あの当時のブラジルは「最も面白みも無く、守備的なチームだ」と批評を受けていた、
だがふたを開けてみれば、ヨーロッパのクラブチームで活躍していたメンバーを中心にロマーリオ・ベベットという世界最高のツートップが爆発し、W杯を制覇したのだ。あの時のチーム戦略として4-4-2システム、中盤にはドゥンガ、マウロ・シルバでのダブルボランチで相手の攻撃の出鼻をくじき、奪ったボールをそのままツートップに繋げ、ゴールを奪う、つまりカウンターサッカーである。もちろんブラジル特有の個人技で相手を翻弄していたが、それよりもあのブラジルが組織を用い、無我夢中でボールを奪いにいく、彼らは組織を導入し、さらに伝統サッカーを進化させたのだ。
フランスW杯では惜しくも準優勝に終わったが、日韓W杯では伝統の4-4-2システムを捨て、3-5-2システムを用いたのだ。その時の戦略も前線からボールを奪い、前の3R(ロナウド・リバウド・ロナウジーニョ)に預け、ゴールを決める、今のバロセロナの戦略に近いかもしれない。
個人的な考えと思われてしまうかもしれないが、もちろん伝統サッカーを持ちつづけるのは重要なことだ、それ以上に対応する能力、戦術眼、柔軟性が進化する上で最も必要になってくるのではないだろうか、脱・伝統サッカーというのは伝統サッカーを進化させ、その進化サッカーを新しい伝統サッカーにすればいいということである。それはいずれ結果としてでてくるはずだ。
私は現ブラジル代表監督パレイラ氏がアメリカW杯予選ロシア戦後のコメントで、「今後数10年、ブラジルの時代が続くだろう」と話したのを思い出し、再び監督としてW杯を目指すことは、非常に楽しみな話題である。