以前、投稿させていただいたコラム(思想の違いから考えるバルセロナ・チェルシー戦)で2つのチームを思想という観点で比べてみました。
そして今回はチームに不可欠な「サポーター」という観点で2つのチームを比べてみたい。
今回比較する2チームはスペインの両雄、バルセロナとマドリー。現在は対照的な2チームだが、その責任はサポーターにあると私は考える。
2003年夏、無冠の年が続いたバルサはクラブ会長選挙で若いラポルタ現会長が就任した。日本のJリーグのチームと違い、バルサ・マドリーなどのクラブではソシオと言う公式会員(多少ニュアンスが違うが日本で言うファンクラブ会員のような人々)がクラブの会長を選ぶ。
バルサソシオは改革を望んだ。そして最初の半年は多少もたついたが見事改革に成功した。現在を見れば改革は成功したと判断できるだろう。
一方、マドリソシオは2004年夏、前年にちらついた主力の高齢化・守備陣の崩壊を知ってか知らずかペレス現会長の続投を支持。その支持率は90%を超えていると言われている。
基本的にビジネスマンのペレスはビッグネームを獲り続けていった。ユニフォームの売れる選手を優先した。オーウェンを考えればわかるだろう。そして今シーズン前半戦の必然だったチーム崩壊。
バルサも似た状況になった時期があった。改革元年、ラポルタが会長就任したての年のシーズン前半戦はひどかった。しかし、改革を目指してのチーム崩壊だったバルサに対し、マドリーは変化を嫌ってのチーム崩壊。立て直すことが出来たバルサだったが、果たしてマドリーは・・?
冬の移籍でダーヴィッツを獲得し生き返ったバルサ。それゆえに今年のマドリーの冬の移籍を注目していたが、やはり、ペレスに今の現状は理解出来ないということだろうか。
今のところマドリーが冬に獲得した選手はシシーニョ、そしてカッサーノ。
まずはシシーニョについて。現在のマドリーの右サイドバックはミチェル・サルガドとディオゴ、さらにセンターバックやピボーテに入ることが多いが、本職は右のセルヒオ・ラモス。これにシシーニョが必要だろうか?サイドハーフには絶対必要不可欠なベッカムがいる。現状では最も人材が豊富な右サイドにシシーニョはどんな居場所があるのだろうか?シシーニョ自身が控えか、サルガドを控えにしてレギュラーか。長い目で見るといい移籍だという声もあるが、長い目で見るなら絶対に左のロベルト・カルロスの控えを探すべきだ。
次にカッサーノ。この移籍には個人的には大反対だ。才能は文句無しのカッサーノだが、あのトッティ並の傲慢、怠慢の若者を操る事が、マドリーの現監督には到底出来そうもない。出来るとしたらカペッロやファーガソンらのバッドボーイの扱いに慣れた人物くらいだろう。ルシェンブルゴならともかく、マドリBから繰上げされた代理監督には荷が重過ぎる。マドリーが今まで獲得したビッグネームはジダン・フィーゴ・ベッカムなど人格的にもしっかりしていて、伝統と規律のある大国のキャプテンになるような選手が多かった。だからマドリーではほとんど選手同士の揉め事はなかった。ロナウドやロベルト・カルロスがファンや監督と対立するぐらいだ。
さらにポジションの問題だ。基本的に2トップのマドリーでは通常ラウルとロナウドが入る。現在はラウルが怪我で戦列を離れていて、ロナウドも怪我がちということでレンタルや第三のフォワードとしての補強が必要だった。しかし、ラウルが復帰すると、カッサーノはベンチを暖め続けなければいけない。
カッサーノはイタリア特有というか、トッティ、デル・ピエロなどと同様ロベルト・バッジョの影がちらつく選手だ。いわゆる9.5番(ストライカーの9番とゲームメイカーの10番両方の能力を持つというペレがバッジョを評価する時に用いた表現)の系統だ。つまり攻撃的中盤もできるということだ。しかし、マドリーが現在ジダン、ロビーニョ、グティがいてここにもカッサーノがレギュラーを取れる保証はない。チーム内で揉め事が起きるのは容易に予測できる。
また、ラウルを中盤に下げてしまうと、せっかく復調の兆しが見えてきたラウルを結局2.3年前の不調に戻してしまう。
さらに、ソルダーノなどの有望な若手の出場機会が減り、下部組織の選手のモチベーションは下がる一方だ。グティ程の才能があっても、ベンチになるのでは仕方がない。
このような補強をする会長を支持したマドリソシオ。しかし彼らだけではない。あの選手がいるからマドリーが好き!あの選手がいないから、マドリーなんてどうでもいいや!などと言うファンがいるのも事実である。私自身も、かなり前からラウルとジダンの大ファンであるが、ジダンがユーべからマドリーに移籍したときでもバルセロニスタであることをやめたり、マドリディスタになろうとは考えたこともない。バルサのクラブとしての存在に惚れている為おそらく何十年経ってもこの考えは変わらないだろう。
日本のファンの方たちにも少し考えて頂きたい。Jリーグの発展の為には、ひとつのチームのファンであり続けていただきたい。そのためには、どっかのテレビ番組でも言っていたが、ひいきするチームへのブーイングも忘れないで頂きたい。どうゆうチームの方向性を求めているのかを明確にしていただきたい。日本でのバーレーン戦であんな勝ち方なのに、「よくやった」と言う声も聞こえた。結果を重視するのも大事だが、私はあの結果に対して満足したファンに失望も感じた。「世界一つまらない国内リーグ」という数年前の世界の評価を覆す為にも批判は必要なことだと思う。