現代サッカーにおいてのボランチというポジションの重要性を世に知らしめたのは、間違いなくACミラン時代の現バルセロナ監督『フランク ライカールト』であろう。当時は守備的ミッドフィルダーと呼ばれていたと思うが、そのポジションとはディフェンス時には、今ここを攻められたらゴール前に持っていかれる場所を瞬時に察知しセンターライン付近で文字通り相手の攻撃の芽を摘む事である。そこでボールを奪えなくても相手の攻撃を遅らす(速攻を防ぎ、自陣のディフェンダーの数と陣形を整えさす事)だけで良いのである。オフェンス時には逆に相手が与えた、もしくは見方フォワードが作ってくれた『スペース』を突いて、オーバーラップ、パス、ドリブルをしゴール前にボールを運ぶか自分でゴールを奪う事である。
サッカーというスポーツで一番重要なのはテクニックでも戦術でもなく、その一瞬の判断力『ひらめき』なのだ。特に中盤の核になりうるボランチをする人間にはその『ひらめき』が最も必要になってくる。『フランク ライカールト』には恵まれた体格と生まれ持ったその『ひらめき』が備わっていた。
私もよく『サッカー選手の上手い、下手を見分ける方法は?』と素人に聞かれる事があるが、その時は『試合を見ていて一番多くボールを触る選手』と答える様にしている。(まあよほどのサッカーファンでないかぎりサッカーの試合を90分見る人はいないとおもうが)
少し前までのサッカーの花形、10番を付けた選手のポジションといえばトップ下であった。そこで最後のキラーパスを出し、自ら点を取ってチームを勝利に導くのがトップ下というポジションの役割だったのが、今ではディフェンスを固めるチームが増えたせいかトップ下というポジションにはスペースが無く、マークに着かれ前も向かしてもらえない状態になるので、そのポジションを戦術的に配置しない監督が増えてきている。では、今までトップ下がしていた役割はいったい誰がしているのかといえば他でもない『ボランチ』のポジションなのである。ACミランの『アンドレア ピルロ』が解り易いと思う、彼はディフェンスという役割もこなしつつ、遅攻の時には必ず彼にボールを預ける。比較的スペースがあり相手のプレスの受けにくいボランチというポジションからサイドに散らしたり、ディフェンスの間を通す決定的なパスをフォワードに供給している。選手の特性によって異なってくるが、彼には今のポジションが最適なのである仮に彼がトップ下に陣取ればこれほど有名な選手になる事は無かったのではないか。しかしミランには『カカ』がいるじゃないかと言う意見もあるだろうが彼は一旦ピルロのポジションまで下がってボールをもらってから自分でドリブルを仕掛けていくパターンがほとんどである。ボランチというポジションはそれほど忙しいポジションであり試合でボールを触る回数も増えるという訳なのだ。
しかし1人にその全てを任せてはすぐに故障するどころか1試合ももたないだろう事は誰の目から見ても明らかだ。そこでボランチに2人配置しディフェンス重視とオフェンス重視の役割を与えているチームが多い。ここではインテルミラノが解り易いかと思う、ディフェンス重視に『カンビアッソ』オフェンス重視に『ヴェロン』を最近の重要な試合には固定している。試合を見ているとカンビアッソが相手の攻撃の芽を摘み、奪ったボールを必ずすぐ横に陣取るヴェロンに渡しそこからインテルの攻撃が始まるのである。この前のミラノダービーはまさにボランチの差がそのまま試合結果に繋がった試合であった様にボランチというポジションはサッカーというスポーツにおいてそのポジションに配置された選手のその日のコンディション、『ひらめき』でその日のチームの成績にリンクするほど重要なポジションになってきている。
皆さんも点を取った選手がすごいというレベルの低い評価は卒業して、そのような観点で試合を見てはいかがでしょうか?日本代表にはこのポジションに人が固定されていないのが現状なのです、誰をどう組み合わせるのか代表監督さんは真剣に考えておられるのでしょうか?前ばかり固めても無意味なのに早く気付いて欲しいものです、それともそこに配置できる選手がいないのか!アジア地域で取り残される前に早く手を打って欲しいと願う今日この頃です。では、またの機会に!