4月に行われたUEFAの総会で「homegrown plan」が承認された。
選手の多国籍化が広がるサッカー界で新たに導入される「現地育成」という
新しい規定がどのような影響を及ぼすのかを考えてみた。
まずは規定から
チャンピオンズ・リーグ、UEFAカップに出場するクラブは
25人の登録選手中にクラブで育成した選手が4人以上、クラブが
所属するサッカー協会に属するクラブが育成した選手 4人以上
の計8人以上を選手登録しなければいけない。
この規定は2006-2007シーズンから段階的に取り入れられ
2006-2007シーズンでは4人(自クラブ育成2人+同協会育成2人)
2007-2008シーズンでは6人(自クラブ育成3人+同協会育成3人)
本格採用が2008-2009シーズンとなる。
この規定によりプレミアリーグには問題となる
ビッククラブが2チームある。ChelseaとArsenalだ!
Chelseaは言わずとしれたアブラモビッチ会長の資金力を元に
有力選手を次々と買いあさっている。ランパード、テリー、Jコール
といった国内組もいるが主戦力を次々と海外から招集しているため
下部組織から選手が成長してくるような図式は存在しなくなって
しまったともいえそうだ。何よりも若手に与えられるチャンスが
少ない。こういったビッククラブに所属する若手にはリーグカップ
やFAカップといったカップ戦が主戦場となるのだが外国籍選手にも
過剰に人員が余りそうなChelseaにとって若手に与えられるチャンスは
幾許もないだろうことが予想される。
2008-2009シーズンまでに有望な育成選手を育てられるだろうか?
最終的には4人の自クラブ育成選手のうち何選手かはこの規定を
満たすためだけの捨て駒のような登録になるかもしれない。
いったいChelseaがどんな策でこの規定を乗り切るのか、楽しみで仕方がない。
一方で同協会育成選手では、今にもショーン・ライト・フィリップスを
買い取りそうなChelseaだがManchester Cityもこの台所事情を知ってか
知らずか移籍金を引き上げるような駆け引きに出ている。
ジェラードの移籍も期待できなくなった今はSWFの移籍+移籍金に注目が集まりそうだ。
もっと深刻なのはArsenalだろう。
何せ昨シーズン、ベンチに1人もイングランド人がいなかったことがある。
主力として活躍しているのはA・コールとソル・キャンベルの2人だけ。
(キャンベルは2001年にTottenhamから獲得)
しかも、当のコールも「ベンゲルのアーセナルはフレンチコロニーだ!」
といった発言をし物議を醸し出している。移籍の日も遠くないかもしれない。
もちろん、Chelseaと違法な接触をもったのも記憶に新しい。
めぼしい自クラブ育成選手のいないアーセナルは現在、Newcatsleに所属する
ジェナスの獲得に動いている。今後は獲得のターゲットが同協会に所属する
選手が優先となりそうだ。
長期政権の続いているベンゲル監督もこの規定により今は頭を悩ませている
ことだろう。
ベンゲルは常々新スタジアムでArsenalの指揮をとる最初の監督になりたいと
言っていたが、最近ではJuventusの監督になりたい。等と弱気とも思える発言の
裏にはこういった事情が見え隠れする。
確かにJuventusではこのような規定に頭を悩ませる必要はないだろう。
新スタジアム建設で経営の苦しいArsenalが今後の移籍市場でどの選手を
獲得していくか?こういった面からも非常に楽しみである。
・新規定の問題点
このような規定が設けられると若い選手のスカウティングが活発化するもの
と思われる。有望な選手は十代前半から自クラブに所属させ育てる。といった
現在でも行われている若い選手の引き抜き工作が活発化することが予想される。
これから欧州トップリーグで活躍しようというサッカー選手は
自分の立ち位置を「チーム残留派」と「移籍派」のどちらにするかを
まず問われるだろう。そして若い選手はその最初の決断を十代前半にも
行わなければならなくなるという非常に情け容赦ない規定となってしまった。
5年後、10年後サッカー選手事情、移籍市場は大きく変革していることだろう。